ISO認証取得奮闘記

弊社は2009年12月5日付で、ISO9001認証の返上をいたしました。このページは弊社の活動記録としてそのままの形で残しておきたいと思います。

1999年10月キックオフから1年2ヶ月あまりかかった認証取得作業は「登録」という形で幕を綴じました。まずは認証取得という第一ステップを突破し,当社に存在しなかった「品質システム」という大きなものが確立されました。しかしながら,ISOを取得したということで終止符を打つわけではなく,これから第二ステップへと入っていき,又,更なる品質向上のためにシステムを維持及び改善していかなければなりません。更新も半年に一度,審査機関にて行なわれますし,ISO9001:2000年版が2000年12月15日に発行済みですので移行期間中に1994年版から2000年版へとシステムを改訂しなくてはなりません。

自分で言うのも変ですが,ISOを始めた時の自分と今の自分では,大きく変わったと思います。しかし,私のような若輩者がISO推進責任者となり,会社のシステム構築がよく出来たなと思います。それも社長を筆頭にISO推進メンバーや社員全員の協力があって出来たのだと実感します。社員の中で非協力的な人がいれば,決してうまくいかなかったと思います。つくづくこの認証取得は社員全員で勝ち取ったものと思います。

平成12年12月18日
ISO推進責任者(品質保証課) S

 

下記は,平成11年2月から平成12年12月の認証取得までの記録です。

平成11年2月

ある日社長から「S君(25歳独身である僕の名前),ちょっと」と呼ばれたのが運のツキでした。今考えるとこの時がISO地獄の入り口だったのです。

「うちもISOが必要かどうか,どういう内容のことをするのかちょっと調べて欲しい」と言われました。その時,私自身はISOの知識などまったく無に等しかったので,イソ?,アイ・エス・オー?それは何?という感じでした。しかし,そうこうも言ってられないので,調べてみることにしました。

 

情報の収集:平成11年2月~4月

インターネットの情報やISO関連の雑誌を何冊か買って読んでみましたが,品質管理に関する国際規格ということはわかりました。しかし,実際,何をしていけばよいのか,またどのような工程で進めていけばよいのかが今一つわかりにくく,ISO基本講習みたいなものに参加しました。参加されていた企業の人は講師の人の話にものすごく真剣さを感じました。

内容を考えていくと,当社にもISOが必要ということを社長に報告しました。そして,社員のみんなにISOという品質に関する国際規格があるということと,当社にこれが必要になってくるということを簡単ではありますが説明しました。

 

経験者からのお話:平成11年4月~6月

何冊か本を読んでみましたが,なかなか分かりにくい点もあるので,実際に認証取得をした会社に直接聞きに行くことを考えました。幸い社長の友人が勤める建設コンサルタントのK社を紹介してもらい,その品質管理責任者の方から直接話をお伺いすることができました。また,私の学校の先生の紹介で建設会社のZ社の品質管理責任者ともお話することができました。ここまでで,だいぶ分かってきたように思えましたが……。

それより品質管理を担当している人(ISO担当責任者)は,偉い人(役職でもかなり上)が担当です。ビックリはしませんでしたが,やっぱりな~ということはつくづく思いました。それを考えると私みたいな若僧にできるものだろうかという不安がズシズシと圧し掛かってきました。その反面,他の社員共々私自身もまったく新しいことを習得していくのでやり甲斐はあります。

 

平成11年6月~7月

必ず本でも企業でも規格要求事項を自社に置き換えるというのが,どこまで拡大解釈をすれば良いのかが大変でした。拡大解釈しすぎると内容の濃い文書を作成することとなり,すごく分厚いシステムが出来上がり,運用するのが四苦八苦しかねない。そして内容の濃いシステムを一度作ると大変で認証取得後も改善していくことがなかなか出来なくなると聞き,どうすればスリムに文書を作成できるかという講習に行きました。

審査機関もある程度選定しておくこととなり,当時32の審査機関がありましたが,情報を集めて3~4社程度来社して頂き,お話を聞きました。

 

平成11年7月~8月

社内で決めないと行けないことが多々出てきました。

以上の内容を社長と相談しました。そこで10月1日から取得スタート(俗に言うキックオフ)をするということが決まりました。

 

平成11年9月

取得支援コンサルタントを導入することと決まり,コンサルタント会社数社に来社してもらいお話を聞いて,Tコンサルタントの担当N氏に決定しました。主任審査員で経験豊富,強い味方といった感じです。

ISO推進メンバーは,専任が私(S)そして兼任として社長,U課長,T主任の4人体制で,これから取得に向けていざ出陣といった感じです。しかし,私が専任でISOを浸透させて会社を引張っていけるかどうか…。

規格要求事項をより理解するために,規格解釈セミナーに行きました。結果,企業によって解釈がまったく違ってくることもありえるとのことでしたが,要求事項ひとつでここまで内容を膨らまして考えても良いということが習得できたように思います。

 

平成11年10月

とうとうこの日がやってきました。認証取得活動がスタートします。

社長による全社員への取得スタート宣言があり,これから実際に何をしていくんだろうという感じでした。私自身これから恐ろしくなることが頭をよぎった。

第1回目のN氏によるコンサルタントもはじまり,規格要求事項の内容をコツコツとニラメッコです。

 

平成11年11月~平成12年1月

いよいよ,品質マニュアル作りに入りました。はじめ私が規定要求事項を見比べながら,1~20までの要求事項を満足するような形で作りました。今考えるとゾ~っとします。

そして一通り出来たのをISO推進メンバーで,その内容を一から規定要求事項と社内システムに合わせて見直していきました (これが結構大変で…時間がかかる)。もちろんコンサルのN氏も確認しています。

他の推進メンバーは,各自業務をしながらの作業となるのでなかなか時間が取れなかったこともあります。当然,私自身で見直してもある程度変える所はあるのですが,やはり第3者が見るのとは違うので,推進メンバーと他部門の責任者を交えて見る方が良いものが出来ます。

 

平成12年2月~5月

品質マニュアルが完成し,規定要求事項と社内システムを固めた上で,規定書,基準書,帳票作りに入りました。これは各担当者を決めて分散作業としましたが,整合を取るために各担当者が集まり話をして内容をまとめ反映していくようにしました。ここでもやはり各自業務をしながらの作業となるのでなかなか時間が取れず思うように進行しないのが辛いところです。

完成している規定書,基準書,帳票を推進メンバーで見直します。これは直接業務に関わってくるのでシビアに確認します。N氏にも何回も見直して頂き,再度検討することも多々ありました。

出来あがった書類をもとに社員に説明です。これがまた難しく,又私の説明も不十分で理解しづらかったと思います。当然,私が理解しているだけではどうしようもありません。ISOは企業改革ですので,全社員に大きく関わってくるのです。

この作業の間に,内部品質監査員の資格を取りに行きました。はじめは3名でうち1人は女性社員です。やはり3名とも若手社員の構成です。

 

平成12年6月

いよいよ試験運用です。社員のみんなは,慣れない作業なのでシドロモドロしながら記録を取り始めています。ミスもたくさん出てきます。システムの見直しも出てきます。しかし,ここからが正念場です。

ISO規格内容にそって業務を運用していくと,作成したシステム文書と実際の業務に食い違いが出てきて改善していくことが多々あり,ISO推進メンバーはまた悩みました。

第1回目の予備審査日程が8月末に決定しました。当社では予備審査を2回受審する予定になっており,まずは第1回予備審査に向けて一刻も早くシステムを軌道にのせたいです。

 

平成12年7月

そろそろ少しずつではありますが,システムが軌道に乗り始めているように思います。そして……。

社内で確認する内部品質監査が行なわれました。結果は……,何事もなく進んでいるはずのシステムが目の当たりにした現実ではボロボロでした。社員の理解不足がもっぱらの原因でもありますが,これだけの要求事項を満足させるシステムを同時に動かすと全部を理解するのが難しいのかもしれませんが,同じように進行している他社のシステムはしっかり動いているという報告を受けると何故としか言いようがありません。この状態では予備審査が……。

 

平成12年8月

内部品質監査で出された不適合を是正していきますが,数が多いと大変なのと効果のある是正処置をしなければまた再発しかねないため慎重に行ないます。

それに伴い,社員の再教育を行ない理解が進んでいることを祈ります。再度,社員の「ISOを取得する」ということの認識を高めなければなりません。そして8月末に控えている第1回予備審査を乗りきることが現在の大きな課題です。

 

平成12年8月末(第1回予備審査)

8月31日,9月1日の2日間で第1回目の予備審査をJQA(日本品質保証機構)の審査員によって行なわれました。やっぱりありましたね~不適合が…。システムの骨格はそうそう出ないと見込んでいたのですが,さすが審査員の鋭い指摘により発覚!といった感じです。審査されている各部門長も初対面の審査員に緊張の連続で質問も理解できない部分もあったのではないでしょうか。

審査員から「これは不適合になります」とか「不適合!」言われると「ドキッ」として仕方がありません。

不適合内容は,やはりいっぱいありました。これから直していくとなると…憂鬱になりそうな感じですが,システム全般を考えるとほんの一部に過ぎないと考えざるを得ません。

 

平成12年9月

予備審査で出た不適合に対して是正処置に入りますが,ISO推進室を筆頭に管理責任者も検討に加わり大変な作業の始まりです。現システムを生かしつつ,整合が取れるように,又システムを重たくしないようにしていく作業を実行中です。まだまだ気が抜けません…。

 

平成12年9月末(第2回内部品質監査)

9月26,27日の2日間で第2回内部品質監査を内部品質監査チームにより実施しました。不適合発生件数としては,前回の内部品質監査の時より減少しています。が,設計部においては前回と同じ件数でした。弊社は品質システム(ISOの要求事項)の大部分が設計でカバーしますので監査する項目が多いことは確かですが…,前回と同じ範囲で不適合が数ヶ所出ているところもありました。徹底的に原因を追求し,暫定及び恒久処置につなげるとともに,再発防止へとつなげていくことにしています。

 

平成12年10月

第2回内部品質監査で指摘された不適合に対し,是正処置を実施しました。最近は,監査(審査),是正処置,実施の繰り返しになってきています(これがずっと続くのでしょうが…)。10月末には第2回予備審査も控えていますので,とりあえずシステム改善が急務です。

 

平成12年10月末(第2回予備審査)

10月26,27日の2日間で第2回予備審査をJQA(日本品質保証機構)の審査員によって行われました。前回(第1回予備審査)の審査員は,専門分野が,建設・設計・開発関係でしたので割りと理解されやすかったのですが,今回の審査員の専門分野が,電気・電子・設計・開発関係で建設業独特のISOシステム構築を理解して頂けるかどうかという点が心配でした。しかし,来られた審査員の方には,ISOのシステムを客観的に審査してもらったおかげで,大体の範囲を理解して頂けてスムーズに審査を受審することが出来ました。

肝心の内容ですが,不適合はやはり検出されましたが,前回の不適合件数より減少しましたので,社員の理解度が高まってきていることだと思います。しかし,審査報告書として挙がっている不適合件数は少ないのですが,システム上で見直した方がよい再検討項目が多数あり,これまた四苦八苦することとなりました。

 

平成12年11月

現在は,第2回予備審査の不適合内容とシステム上,再検討していかなければならない事を是正しています。しかし,次に控えているのが登録審査であるので,ボリュームがあるものをしっかり検討して是正するには日数がなさすぎるようにも感じます。そんなことをいっている場合ではないので,とにかく是正・是正・是正といった感じです。

ISOのシステムは,上下展開はもちろんですが,水平展開も重要な位置付けなので一通り完成しているものを是正,改訂,改善していくことは,細心の注意が必要になります。実際にシステムを実施している社員に出来るだけ負担をかけないように,又混乱を招かないようにしなければなりません。

 

平成12年12月(登録審査~登録)

登録審査

12月4,5日登録審査。とうとうこの日が来てしまいました。待ち望んでいたわけではありませんが,この日が来なければ先に進めません。

審査登録機関(JQA)より主任審査員と審査員の2名が来社され,2チームに分かれての審査となりました。予備審査の段階では,審査員一人で何人かの対応者がいたのですが,今回は2チームに分かれるため対応者が一人になる可能性が高く,また片方の審査で何が起こるかわからない状況で,審査を受審する各部門長の緊張度はすごかったことと思います。

審査中は,記録もれが出てきたり,審査終盤で大変なことになりかけて一時はどうなることかと思いましたが,担当者がシステムを実施している結果(文書や記録)を残していた事と,各部門長の熱意(?)が伝わり,何とか審査が終わりました。結果は不適合(マイナー)2件で無事に終えることが出来ました。

登録審査是正処置計画

登録審査で出た不適合(マイナー)2件に対し,是正処置計画を立てなければなりません。ISO推進メンバーで大至急に計画を立て,登録審査から2日後に審査機関へ送りました。

判定会議から登録

提出した是正処置計画に対する判定会議が12日にJQA東京本部にて行なわれました。判定の結果,見事に「登録」となり,15日に登録証発行となりました。

そして18日に登録証が手元に届きました。登録証を見なければ落ち着かなかったのですが,これはもう「よかった」の一言ですね。

 

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