(更新日:2008年9月1日)
補強土壁が設置される基礎地盤の強度を施工時に現地で確認する方法はありますか。
A.25
事前に基礎地盤の調査が行われ,そのデータを元に設計検討が行われている場合は,現場で調査結果と見比べればよい。問題は事前に調査がまったく行われていない場合である。
ここでは,事前に基礎地盤の調査が実施されていない場合の,現場での対応法を示す。
(1) 地形図から補強土壁が設置される地盤を判断
地形図は地形・地質情報を読み取るのに効果的な資料である。地形図上で最も注意すべき点は等高線間隔の変化である。等高線間隔が一定の山腹斜面は地形状問題ないと考えてよいが,周囲より際立って広くなったり,乱れている等高線の部分は何らかの問題を含んだ地形であると考えてよい。
(2) 現場周辺を踏査して確認
補強土壁が計画されている現場周辺を踏査して以下に示す状況を確認する。
上記の中でも既設構造物が計画地点近くにある場合には,構造物のクラックや沈下等の有無を観察することにより基礎地盤の情報をある程度得ることができる。
(3) 掘削による直接確認
補強土壁を設置する基礎地盤が均一な岩盤であればまず問題はない。しかしながらバックホウにより簡単に掘削できるような土砂地盤や粘土地盤であれば,目視による観察だけでは補強土壁の安定性を確認することはできない。
上記のような現場での確認後,補強土壁の盛土高も考慮して安定性を確認するのは困難な場合が多い。補強土壁が設置される地盤に岩盤が確認される以外は,以下に示すような基礎地盤の調査が必要となる。
a) 基礎地盤が柔らかい粘性土地盤の場合
スウェーデン式サウンディングにより,粘性土地盤の一軸圧縮強度を調査する。このような地盤ではこの調査法が簡単で,かつ強度が性格に把握できる。
b) 基礎地盤が礫を含む土砂地盤の場合
標準貫入試験によりN値を求める。N値から基礎地盤の強度を推定することになるが,できれば採取した試料の粒度試験や含水量試験を行い,砂質土か粘性土かを正確に判別するのが望ましい。しかしながら,この調査法は費用とともに,期間もある程度必要となる欠点がある。
(4) 平板載荷試験による強度確認
現場では平板載荷試験により地盤の強度を確認する場合が多い。しかしながら,この試験結果から得られる地盤情報は,載荷板寸法の1.5~2.0倍程度の深さ(一般的には直径30cmの載荷板を使用するので45~60cmの深さ)までであることを念頭に置いておく必要がある。平板載荷試験の前にサウンディングなどの予備調査を実施し,土層の構成を十分に把握した上で試験位置の選定を行う必要がある。
結論的には基礎地盤近辺の現場踏査や目視だけでは補強土壁の安定性を確認するまでに至らない場合が多く,また調査が必要になると施工開始時期を遅らせる場合もある。やはり施工の前に十分な時間的余裕を考慮した地盤調査が,結果的には経済的で安定な補強土壁を構築するためには必要である。
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