Q.49 盛土材の土質試験法

(更新日:2015年11月11日)

 補強土壁に使用する盛土材の土質試験法について教えてください。

A.49

(1) 盛土材土質試験の重要性

補強土壁工法の主要部材は,工場等で製作される壁面材や補強材を除けば,自然にある土や岩からなる盛土材である。これらの盛土材は複雑多岐で,地域や場所,自然条件,時間の経過等によりその性質が異なることが多い。

一方,補強土壁は通常の擁壁等の土構造物に比較して規模が大きい場合が少なくなく,盛土材の土性によって補強土壁の安定性に大きな影響を与えるため,盛土材の性質を試験により十分把握することの重要性は一般的な土構造物よりも高い。

 

(2) 盛土材土質試験の目的

補強土壁工法のための盛土材土質試験は次の目的のために行う。

  1. 補強土壁に使用できるかどうか判断する。
  2. 盛土材の設計土質定数(内部摩擦角φ,粘着力c,単位体積重量γ)を決定する。
  3. 現場締固め管理値(最大乾燥密度ρdmax,最適含水比woptを測定する。
  4. 補強材の耐久性について検討する。(pH等)

 

(3) 盛土材の土質試験法

補強土壁に使用する盛土材に対して行う土質試験の種類を表2.1に示す。

表2.1  盛土材の土質試験

項目 土質試験項目 試験法 重要度 備考
物理的性質の試験 土粒子の密度試験 JIS A 1202 盛土材の分類及び
使用できるか否かを
判断するための資料
含水比試験 JIS A 1203
粒度試験 JIS A 1204
液性限界・塑性限界試験 JIS A 1205
力学的性質の試験 突固めによる締固め試験 JIS A 1210 施工管理用資料
三軸圧縮試験 地盤工学会基準 設計定数の測定
化学的性質の試験 pH試験 地盤工学会基準 補強材の耐久性資料
比抵抗試験  
塩化物・硫化物含有試験  
耐久性試験 岩のスレーキング試験 JGS 2124 脆弱岩に対して
注) ◎:必ず実施しなければならない試験
○:規模が大きい場合や粘着力を考慮する場合には必ず実施しなければならない試験
△:必要に応じて実施する試験

さらに壁高が高い場合や規模が大きい場合や,盛土材の設計土質定数で粘着力も考慮する場合に必ず実施しなければならない試験として三軸圧縮試験がある。これは盛土材の設計強度定数(c,φ)を決定するための資料となる。

盛土材の強度定数は,通常三軸圧縮試験によって求められるが,土の種類,含水比,密度,骨格構造,有効応力等によって異なった値を示す。また,同一状態のものでも,締固め度,試験方法あるいは排水条件によって強度定数の値は異なる。したがって,盛土材の強度定数を求めるための試験は,施工条件,現場条件等とほぼ同一の条件で実施する必要がある。

 

ここでは三軸圧縮試験を行うための条件について述べる。

a) 供試体の密度

供試体の密度は,現場の締固め管理基準値に規定される密度を用いることを原則とする。一般的な乾燥密度によって規定される場合は,突固めによる土の締固め試験のA,B法よる最大乾燥密度の95%程度の密度,C,D,E法による最大乾燥密度の90%程度の密度とする場合が多い。

実際の試験結果を見ると,供試体の密度が,現場の締固め管理基準値とは関係なく作成されている場合が意外と多いので注意する。

b) 供試体の含水比

通常の盛土材のように不飽和の場合には含水比の状態によって強度定数は著しく異なる。供試体の含水比は,現場で予想される含水比で作成することが望ましいが,予想が難しい場合には以下のとおりとする。

供試体の含水比は,現場で予想される含水比で作成することが望ましいが,予想が難しい場合には以下のとおりとする。

c) 排水条件

盛土材の強度定数は排水条件によって変化する。試験において現場の排水条件を考慮して排水か非排水で行う。一般的には全応力法の場合,盛土材の透水性が低い場合には非圧密非排水試験(UU試験)や圧密非排水試験(CU試験)で行い,透水性が高い場合には圧密排水試験(CD試験)で行う。また,有効応力法の場合には圧密非排水試験(CU 試験)で行う。

d) 供試体寸法

三軸圧縮試験の供試体は,円柱形でその直径は35mm,50mmを標準とし,高さは直径の1.8~2.5倍となっている。また,一般的に試験できる盛土材の最大粒径は供試体直径の1/5~1/8といわれている。直径50mmの供試体の場合,一般的には最大粒径は4.75mm以下としている。したがって,粒径が大きいものを多く含む盛土材の場合には,現場で使用するものと供試体の粒度組成が異なり,土性自体変化することがあるので注意が必要である。

e) 供試体の側圧

盛土材の三軸圧縮試験の場合,側圧は最大盛土荷重(盛土高×盛土の単位体積重量)の0.5倍以下の範囲内で異なる任意の大きさで決定する。

 

三軸圧縮試験を行うための条件を表2.2にまとめる。

 

表2.2 三軸圧縮試験を行うための条件

項目 盛土材状況 試験条件
供試体の
密度
乾燥密度で現場締固め管理をする盛土材 JISA1210のA,B法による最大乾燥密度
の95%程度,またはC,D,E法による最大
乾燥密度の90%程度
  飽和度や空気間隙率で現場締固め管理をする盛土材 規定の飽和度,空気間隙率になる密度
供試体の含水比 不飽和状態で自然含水比<最適含水比opt optの状態で供試体作成
  不飽和状態で自然含水比≧最適含水比opt の状態で供試体作成
排水条件 透水性が高い場合 CD試験
  透水性が低い場合 UU試験, CU 試験,CU試験
供試体の
寸法
最大粒径が4.75mm以下 供試体の直径は最大粒径の5~8倍以上
とする。又は,供試体の直径の1/5~1/8
以上の粒径は除去して供試体を作成
供試体の
側圧
盛土高さが高い場合 側圧は最大盛土荷重(盛土高×盛土の
単位体積重量)の1/2以下とする

 

(4) 土質分類別に推定した盛土材のせん断強度定数

 a) 道路土工―擁壁工指針(2012.7.)

高さ8m以下の擁壁で土質試験を行うのが困難な場合は,経験的に推定した表2.3の値を用いてもよい。

表2.3 裏込め土のせん断強度定数

裏込め土の種類 せん断抵抗角φ 粘着力c
礫質土 35°
砂質土 30°
粘性土(ただしwL<50%) 25°
注1) きれいな砂は礫質土の値を用いてもよい。
注2) 土質定数をこの表から推定する場合,粘着力cは無視する。

補強土壁の壁面変形を考慮すると,この表は適用しない方が望ましい。

 

b) 道路土工―盛土工指針(2010.4.)

高さ20m程度以下の盛土において,土質試験を行うことが困難な場合は,経験的に推定した表2.4の値を用いてもよい。

表2.4 盛土設計時に用いる土質定数の仮定値

種類 状態 単位体積重量
(kN/m3
せん断抵抗角(度) 粘着力
(kN/m2)
地盤工学会基準
礫および礫まじり砂 締固めたもの 20 40 {G}
締固めたもの 粒径幅の広いもの 20 35 {S}
分級されたもの 19 30
砂質土 締固めたもの 19 25 30以下 {SF}
粘性土 締固めたもの 18 15 50以下 {M},{C}
関東ローム 締固めたもの 14 20 10以下 {V}

 

本表の使用に当っては,次の点に注意するものとする。

  1. せん断抵抗角及び粘着力の値は,飽和条件のもとで得られた概略的な値である。
  2. 砕石,トンネルずり,岩塊等のせん断抵抗角及び粘着力は,礫の値を用いてよい。
  3. 地盤工学会基準の記号は,おおよその目安である。
  • ● {G}:礫 細粒分<15%,砂分<15%
  • ● {S}:砂 細粒分<15%,礫分<15%
  • ● {SF}:細粒分まじり砂 15%≦細粒分<50%
  • ● {M},{C}:細粒分≧50%

 

c) NEXCO 設計要領第二集 擁壁編(2014.7.)

表2.5 内的安定の検討に用いる補強土壁の裏込め材の土質定数の上限値

種類 せん断抵抗角(度) 粘着力
(kN/m2)
地盤工学会基準
礫および礫まじり砂 40 {G} {GS}
粒径幅の広いもの 35 {S} {SG}
上記以外 30
砂質土 25 10 {SF}

 

  • ● {G}:礫 細粒分<15%,砂分<15%
  • ● {GS}:砂礫 細粒分<15%,15%≦砂分
  • ● {S}:砂 細粒分<15%,礫分<15%
  • ● {SG}:礫質砂 細粒分<15%,15%≦礫分
  • ● {SF}:細粒分まじり砂 15%≦細粒分<50%

 

d) 鉄道構造物等設計標準・同解説 土留め構造物(2012.1.)

 

表2.6 土圧算定に用いる背面盛土の諸数値の設計用値

土質区分 地盤工学会のよる工学的分類 γ(kN/m3) φ(度)
土質1 {G},{GS},硬岩ずり(剥離性弱) 20 40
土質2 {S},{SG},硬岩ずり(剥離性強),
軟岩ずり,脆弱岩ずり
19 35
土質3 {GF},{SF} 18 30

 

 

 

 

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