Q.51 補強土壁の耐久性

(更新日:2016年3月8日)

 補強土壁の耐久性はどの程度想定しているのですか?

A.51

補強土壁の主要部材は補強材,壁面材,及び盛土材である。補強土壁の耐久性は,これら主要部材の耐久性にほかならない。盛土材の耐久性については,スレーキングなど時間の経過に伴う劣化という問題があるがここでは省略する。以下,補強材と壁面材の耐久性について説明する。

 

(1) 補強材の耐久性

補強材は土中に敷設されることにより,土を補強する部材で補強土壁の最重要部材ということができる。補強材の材質としては,亜鉛メッキ鋼材と合成高分子材の2種類がある。以下,材質ごとに補強材の耐久性について述べる。

 

a) 鋼製補強材の耐久性

代表的な鋼製補強材には帯鋼(ストリップ),アンカープレート及びタイバー,格子状鉄筋等がある。これらの鋼製補強材は100年程度の耐久性を想定して設計を行っている。そのために次のような対策を施している。

  1. 表面に亜鉛メッキ処理(HDZ50以上)を施している。
  2. 設計計算では腐食代(1.0mm程度)を考慮している。
  3. 使用する盛土材を制限している(例えばpHは5~12,電気比抵抗は5000~1000Ω・cm以上の盛土材を使用する)。

ただし,使用する盛土材が強酸性や強アルカリ性の場合や,水に浸かる場所では腐食速度が通常よりも早くなることから,設計計算では腐食代を通常よりも多く考慮するなどの別途検討が必要である。

 

写真-1 帯鋼(ストリップ)

 

写真-2 アンカープレート(左)及びタイバー(右)

 

写真-3 格子状鉄筋

 

b) 合成高分子材の耐久性

合成高分子材の補強材としては多種類のジオテキスタイルがある。これらジオテキスタイル補強材も鋼製補強材と同様100年程度の耐久性を想定して設計している。そのために製品ごとに次のような対応を施している。

  1. 設計におけるジオテキスタイル補強材の引張り強度としては,100年程度を考慮したクリープ強度を採用している。
  2. 使用する盛土材を制限している(例えばpHは5~9の盛土材を使用する)。

 

写真-4 ジオテキスタイル補強材

 

(2) 壁面材の耐久性

壁面材は補強材と接続して背面盛土材のこぼれ出しを防ぐ部材で,補強材と同様に補強土壁の重要部材である。壁面材の材質としては,コンクリート製と鋼製の2種類がある。以下,材質ごとに壁面材の耐久性について述べる。

 

a) コンクリート製壁面材の耐久性

代表的なコンクリート製壁面材にはコンクリートパネル,コンクリートブロック,現場打ちコンクリート等がある。これらのコンクリート製壁面材の耐久性については使用する骨材等の影響もあり,何年ということは言えないが,通常のコンクリート擁壁と同程度の耐久性を有していると考えられる。

 

写真-5 コンクリート製壁面材

 

b) 鋼製壁面材の耐久性

代表的な鋼製壁面材には格子状鉄筋やエキスパンドメタル等を使用した鋼製枠がある。近年では鋼製枠の背面に植生マットを貼り付けて,壁面を緑化するために使用される場合が多い。鋼製枠表面には亜鉛メッキやその他の処理が施されているが,空気中に露出しているために土中に敷設されている鋼製補強材よりは腐食が早いと考えられる。また,補強土壁が設置される場所が工業地帯か,海岸部か,郊外かによっても空気中の腐食速度は異なってくる。当然ながら鋼製枠の耐久性は,使用する鋼材の厚さ(直径)等にも大きな影響を受けるが,明確になっていないのが現状である。また,壁面緑化が耐久性にどのような影響を及ぼすかも明確になっていない。

以上より,鋼製壁面材の耐久性としては,空気中での腐食という問題から,コンクリート製壁面材に比較して若干不安が残ると言わざるを得ない。

 

写真-6 鋼製壁面材

 

(3) 補強土壁工法の耐久性

以上,補強土壁工法の主要部材である補強材と壁面材について,材質ごとの耐久性について述べてきた。これらをまとめると次のようになる。

  1. 補強材は鋼製,合成高分子材ともに100年程度の耐久性を想定して設計対応をしている。また,所定の耐久性を得るためには,材質ごとに盛土材の電気化学的性質等も定められている。
  2. 壁面材はコンクリート製の場合は通常のコンクリート擁壁と同程度の耐久性を期待できるが,鋼製の場合は鋼材の厚さ(直径),設置する環境,表面処理法によって耐久性も異なると考えられる。

土中という環境変化が少ないところに敷設する補強材と,空気中という環境変化が激しいところに露出して設置される壁面材とでは,同一の耐久性を期待するのが無理があると思われる。ただ幸いなことに,補強材と比較して耐久性に不安が残る壁面材は,外からの観察・調査により劣化や腐食程度が把握できるため,何らかの対策を施すことができる。

施工時に使用する盛土材の電気化学的性質を把握して,適切な盛土材を使用するとともに,完成後の維持管理を実行することが補強土壁工法の永久構造物としての耐久性を保証するものと考える。

 

 

 

 

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