Q.55 現地発生土が使用できない場合の対策

(更新日:2016年1月12日)

 現地発生土が補強土壁の盛土材に使用できない場合,どのような対策を施しますか?セメント等で盛土材を改良する場合,どのように設計するか教えてください。

A.55

(1) 現地発生土が補強土壁に使用できない場合の対策

補強土壁の短所には,「使用する盛土材が限定される」ということがある。補強土壁の工法(補強材)により使用できる盛土材の適用範囲が異なるが,通常は細粒分含有量50%未満の粗粒土以外は使用されていない。

適用範囲を超えた盛土材を使用すると,施工中及び施工後の壁面変位が大きく,外観上不安定感を与える補強土壁となる場合が多い。このように,現地に発生する盛土材が補強土壁に使用できない場合には,何らかの対策を施す必要がある。通常は以下の対策法の中から現場状況を考慮して実施される場合が多い。

 

a) 客土の利用

補強土壁に使用できる良質土を購入したり,他の現場から運搬・搬入する方法である。このとき現地発生土をどのように処理するかが問題となる。現場における土量が,客土することにより余る場合には現地発生土を現場外に搬出・処理する必要がある。特に都市部及びその近郊においては,残土処理場の確保とその費用が問題となる。

b) 補強土壁の工法変更

補強土壁にも多くの種類があり,工法ごとに盛土材適用範囲が異なっている。したがって,ある補強土壁工法では使用できない盛土材でも,他の補強土壁工法であれば使用できる場合もある。しかしながら,現地発生土の細粒分含有量が50%を超える細粒土の場合にはほとんど全ての補強土壁工法で使用できないことになる。このような場合には,補強土壁以外の工法(例えばコンクリート擁壁)等も考慮した工法変更を検討する。

c) 盛土材の改良

現地発生土が補強土壁に使用できない場合,盛土材を使用できるように改良する方法である。一般的にはセメント系固化材や石灰系固化材を現地発生土に添加・混合して改良する。固化材の添加量は,盛土材の設計土質定数や壁高に影響を受けるが,過去の実施例からは盛土材1m3に対して,固化材を50kg~100kg程度添加することが多い。

 

以上述べてきた対策法のうち,どれを選択するかは,現場状況,経済性,安定性を考慮して決定される。最近の傾向としては,現場の盛土材を残土として処理することが困難になってきているため,現地発生土を改良する方法が増える傾向になる。

 

(2) 盛土材の改良

ここでは,そのままで補強土壁に使用できない現地発生土をセメント系固化材等で改良する方法について述べることにする。

盛土材を改良して補強土壁に使用する場合の設計法についてはまだ確立されていないのが現状である。一方,実際の現場では盛土材の改良が数多く行われている。ここでは実際の業務で数多く採用され,出来形においても問題のないことが確認されている方法について述べることにする。

 

a) 設計の考え方

補強土壁の設計は,通常の砂質土(例えばφ=30°,c=0kN/m2)として行い,改良する盛土材(以下,改良土という)の強度を設計条件以上とする。すなわち,改良土の強度を用いて設計するのではなく,設計は通常の砂質土として行い,現地の盛土材を固化材で改良して設計条件以上の強度にするという考え方である。

改良土は固化材を添加・混合するため盛土材は固化し,三軸圧縮試験(UU)によりせん断強度を求めると大きな粘着力が得られる。この改良土の粘着力は通常の盛土材における粘着力と異なり,経時増加により確実に期待できる強度定数である。ここで説明する改良土の強度定数決定法は,現場での補強土壁に働く全ての垂直応力σに対して,改良土のせん断強度が,設計条件(例えばφ=30°,c=0kN/m2)のせん断強度より大きくなるように決定する方法である。これを式で示すと次のようになる(式-1,図-1参照)。

 

ここに,c,φ: 改良土の現場せん断強度定数
σ: 現場で補強土壁に作用する垂直応力(kN/m2
30°: 設計内部摩擦角(一例)

図-1 改良土のせん断強度

改良土のせん断強度が設計条件より大きいと,土圧力は設計値より小さくなり,補強材と盛土材との間に発生する抵抗力は設計値より大きくなる。その結果,改良土を使用した補強土壁は設計時に想定した砂質土を使用する場合よりも安全な構造物となる。

 

b) 必要な室内土質試験

補強土壁に改良土を使用する場合には,事前に以下に示す室内土質試験を行う。

  1. 改良土の三軸圧縮試験(UU:非圧密非排水)
    改良土の三軸圧縮試験は,必要な強度を得る固化材添加量を求めるために行う試験であり以下の条件で行う。
      ・ 改良土の供試体は固化材添加量が異なる3種類を作成する(例えば盛土材1m3当り,40kg,70kg,100kgの3種類)。
      ・ 供試体の材齢は7日を標準とする。
      ・ 三軸圧縮試験の側圧は,現地での最大垂直応力σmaxの1/2程度を最大値とする。
  2. 改良土の一軸圧縮試験
     改良土の一軸圧縮試験は,現地での施工管理に使用する資料を得るために行う。供試体作成の条件は三軸圧縮試験と同様に行う。
  3. (現場/室内)強度比
     現場での改良土強度は,室内試験における添加・混合法と異なるので,室内試験での改良土試験に比較して大きく低下する。施工機械別の(現場/室内)強度比は次のような値を使用している。
      ・ スタビライザー:0.5~0.8
      ・ バックホウ  :0.3~0.7
     通常は施工機械別の強度比は平均値を採用する場合が多いが,施工環境,施工業者,施工時期等を考慮して慎重に決定することが必要である。なお,補強土壁における現場で使用する施工機械はバックホウがほとんどである。
  4. 固化材添加量の求め方
     現場における固化材添加量を求めるためには,以下の値が必要である。
      ・ 現場での垂直応力σの範囲
      ・ 盛土材の設計条件(φ,c,γ)
      ・ 改良土の室内強度(固化材添加量別の三軸圧縮試験結果)
      ・ 改良土の(現場/室内)強度比

 

 

 

 

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