(更新日:2023年7月11日)
・土圧とは,地盤内における土による圧力のことであり,
土圧には,解図4-3に示すように主働土圧,静止土圧,受働土圧の状態がある。
① 主働土圧
壁が前方(盛土から遠ざかる方向)に移動し,それに伴って背面土が崩れかかる時の土圧は主働土圧と呼ばれている。擁壁は土塊を支えるのが目的であるので,一般にこの主働土圧をもとに設計が行われている。このとき,一般に土圧の計算はクーロンやランキン等の土圧公式が用いられるが,道路擁壁の場合,現場条件に応じて背面の盛土形状が異なるため,本指針においてはクーロン系の土圧算定手法である試行くさび法により土圧合力を算定するものとする。
② 受働土圧
主働土圧とは逆に壁が土塊側に押し込まれ,土塊が上方に押し上げられるような状態で破壊するときの土圧は受働土圧と呼ばれている。擁壁前面の埋戻し土による受働土圧は,擁壁の滑動抵抗力となるが,洪水時や豪雨時の洗堀,人為的な掘返しにより前面の埋戻し土が取り除かれるおそれや,凍結融解によって前面土圧が十分発揮されないおそれ等があるため,擁壁の設計では前面埋戻し土による受働土圧を一般には無視する。
② 静止土圧
壁が全く変位を生じない時に壁に作用する土圧を静止土圧という。静止土圧は不静定力であり,これを正確に推定することは困難であるが,過去の実験や経験によって概略推定する方法が提案されている。
参考文献
・社団法人日本道路協会:擁壁工指針(平成24年度版),pp53-55,2012.7
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